2015-01-01から1年間の記事一覧

2015年の記事一覧

2015.01.14 宗教的転回? 2015.01.24 プラトンの洞窟(東京カテドラル試論) 2015.01.25 TANGE BY TANGE 1949-1959 2015.03.01 不惑とは 2015.03.08 『豊饒の海』 2015.03.24 シンポジウム「丹下健三没10年『今、何故、丹下なのか』を問う」 2015.04.02 渡辺…

ロベルト・ガルジャーニ『驚異の構築』(レム・コールハースOMA論)

訳者の岩元真明さんから送っていただいた。先日はギアさんの講演会で協力していただいたし、かさねがさねありがとうございます。監訳の難波和彦さんにもよくお世話になっているので、Wで感謝である。 原題をThe Construction of Merveillesというのがまず面…

B案はよろしい

A案かB案かだが、B案かなあ。 第一コンペ案は、建築が触手を伸ばして都市のなかに支配的に介入するというコンセプトであった。A案はグリーンを媒介にして周囲と調和する。B案は、周囲の空間がその巨大な建築ボリュームのなかに浸透してゆく。つまり、第一案…

『明治神宮以前・以後』の書評

話題の文献である。某学会誌にその書評が掲載されていたので一読してみた。ぼくは厳密には専門外だが、妄想は与えてくれる。 神社建築様式と、社叢、都市計画的位置づけという大きな近代化の文脈では、明治神宮が画期をなすという流れで書かれており、また神…

「生活」は2020年を超えるか?

「カルチャー・ヴィジョン・ジャパン」なるものを拝聴した。建築系の講演会とはやや雰囲気が違ったが、社会勉強というものである。この歳になっていうのもなんだが、大人の世界であった。講演では、皇居前広場プロジェクトについて、趣旨説明、建築やアート…

「生活」思想

某学会では「生活」概念が、政策や文化運動のコアとなって、戦前戦後を一貫していたということが論じられていた。 建築にとっては生活改善同盟によりイス式生活や家族生活中心主義がもたらされ、近代住宅が形成される一助となったことが、教科書的知識として…

歴史空間学

先週、某学会で歴史空間学なるものをすえたシンポジウムを拝聴してきた。 概念そのものが特別新しいわけではない。歴史は時間軸であり、たとえば地理学は空間軸であるが、それらの相関、たとえば歴史地図のようなものはみればわくわくするし、地政学などとい…

帝国の建築(中国ツアーの余談)

これまで中国には縁がなかったし、まさかこういうかたちで見学することは、しかし勉強になった。中国側代表者たちとのディプロマティックな場での発言は、なかなか結論まで到達しないものではあるが、専門家たちのご意見も興味深かった。社会学の先生は、中…

上海にて(11月7日~8日)

7日。朝の便で成都から上海へ。市内は霧でかすんでいるが、13年前もこんなふうであったことを思い出す。昼食。上海の友好協会の人と挨拶。生まれも育ちも上海で、磯崎さんの上海パートナーである胡さん登場。今日一日案内していただくことになる。里弄。…

成都にて(11月5日~6日)

5日。5時起きはちとつらいなあと思いつつ、飛行機のなかで睡眠とれるから、まあだいじょうぶ。 成都では、国際交流部の伊さんが出迎え。四川省旅行社通訳の練さん、日本語上手すぎ。北京からそうなのだが、マイクロバスをチャーターし、案内していただける…

北京にて(11月3日~4日)

北京で建築見学した。ホテルは天安門広場や王府井のすぐ近くであった。紫禁城はツーリストでいっぱいであった。とくにいうことはないが、いちどは見るべきということで。建築史の教科書では、清代には建築技術がより発展し、合理化され、大量生産が可能にな…

羽田空港にて

旅行はリアルタイムで報告してゆくと、日記にもなってよいのであろう。でも今回は毎日じっくり書く時間もなかったので、回顧録的に書いてみる。 国際線があさいち出発ということで、羽田空港で前泊であった。なるほどこういう状況では、空港と市内の往復など…

中村拓志"The Architecture of Sayama Lakeside Cemetery"

中村拓志さんから同タイトルの建築写真集が送られてきた。ありがとうございます。 佐山湖畔霊園の、管理休憩棟と礼拝堂である。 学生のころ、所沢聖地霊園をみて感激したが、聖なるものの与える感動としてはそれに匹敵する。arupの力を引き出すその手法も見…

ヤフオクドームの東京音頭

にわかスワローズファンになって、ビジター応援指定席で観戦してきた。 下馬評どおりというか・・・・。得点差からすれば、粉砕されたというわけではないが、スワローズがいくら挑戦しても、はね返されるといった印象で、チャンスもつくれないままであった。…

ギアさんのTOTO講演会

先日、ぼくの大学でTOTO出版主催によるベトナム建築家ギアさんの講演会が開催された。 ぼくはホストを務め、講演会にさきだって、大橋キャンパス、伊都キャンパスにある内藤廣設計椎木講堂、福岡大学キャンパスにある槇文彦設計60周年記念ホール、を案内した…

赤頭巾ちゃん気をつけて

大学教員たちが一斉に書類を書かされるこの時期になると、綿密な作業に不向きなぼくは、つい逃避の読書にそれてしまう。刈部直『丸山眞男』の、終章だけはよく読み返す。庄司薫は丸山眞男の弟子スジであったことを後年知って、ああそうかと思ったからであっ…

『日本の思想』としての新国立競技場コンペ

10+1 web siteに標記を寄稿させていただきました。 http://10plus1.jp/monthly/2015/10/issue-04.php特集『新国立競技場問題スタディー「白紙撤回」への経緯と争点』である。ほかに松田さん、青井さん、日埜さんが寄稿している。さて日本建築界を揺るがして…

《芝の大塔建立図》

・・なるものが山口晃『すゞしろ日記』に描かれていた。建築のパーツを組み合わせたハイブリッドな構築物という構想である。もちろん夢の建築プロジェクトとしては、類例はある。テレビではハイブリッドな建築=橋が紹介されていた。ルクーの妄想建築を思い…

偶有性操縦法

ぼくの今年のPC運は最悪である。4月、自宅PCが壊れた。泣く泣くお小遣いで直した。8月には、つい最近組み立てたばかりの、大学のPCが壊れた。これでも自作派なので、パーツを吟味し、発注、納入、組み立て、インストール、登録などと気が遠くなる。その間…

ふたたび「モダニズム建築」なる和語について

お恥ずかしい話だが、ゴンブリッチ『美術の物語』では言葉をちゃんと使い分けているよと人に指摘されて、頁をのぞいてみた。 なるほど。 訳者の見識には賛同できる。原語どおりに「モダン建築」であって、それを「モダニズム建築」などとは訳さない。これは…

後藤武『ファーンズワース邸』

ヘブンリーハウスという叢書の6巻目らしいが、送っていただいたので、一読した。 残念ながら、いちどは仕事をご一緒したはずの著者を、あまりよく存じ上げていないが、難しい内容をわかりやすく書こうという配慮がなされており、肩の力がよくぬけた、大人の…

浅川ぞいにジョギング

話は前後するが、八王子の浅川ぞいをジョギングした。 かつてぼくは、都市観察として、出張先でかならずスイミングすることとしていた。とくにフランスである。かの国では公立のプールがけっこうある。つまり20世紀初頭の、国民教育、体育、衛生思想、兵力…

東海大学にて

大学をハシゴするのも、それなりに見識をあたえてくれる。 ここは山田守のY字プラン校舎も有名なのだが、キャンパス全体に戦後モダンの香りがただよう。RCの建物は、より軽快な表情である。そんななかでカーネギー・ホールもどきもあり、ロシア構成派風の赤…

創価大学にて

所用のため八王子にでむいた。 9月最初の週末ということで、いろいろ催し物が多いようである。朝食バイキングはほとんど外国であった。 駅から直行バスで20分弱、典型的な郊外キャンパスである。 かなり長いトンネルをぬけて、戸建て団地をみやり、正門に…

渡辺真弓『西洋の「宮殿」覚え書き』

家具道具室内史学会誌「家具道具室内史」第七号の「特集 赤坂離宮の室内装飾」のなかの一稿である。雑誌は渡辺先生よりいただきました。ありがとうございます。 専門家たちによる専門的な調査論考である。図版、写真、図面も多い。頭の勉強にもなるし、目の…

北山恒『都市のエージェントはだれなのか』

北山さんからいただきました。ありがとうございます。熱いメッセージも頁にはさまれていた。なぜか成城学園前のドトールで、気合い入れて読んでみた。周知のとおり北山さんは、真の意味の都市建築を探求してきた建築家として、Y-GSAの管理運営責任者やその教…

国立西洋美術館にて講演

8月22日、ボルドーの都市について語った。開催中の『ボルドー展---美と陶酔の都へ---』の枠組みで企画されたもので、おもに絵画をコンテンツとする内容を、建築的、都市的文脈からサポートするという依頼であったので、迷うことなく受けさせていただいた。…

『聖なる空虚と近代都市の祝祭』すなわち空白の快楽?

というエッセイを書いた。atプラス25、2015年8月8日発売である。 これは磯崎さんコーディネートによる特集「2020年東京五輪に向けて 東京祝祭都市構想」のなかの一稿である。 このプロジェクトそのものは磯崎さんがすでに予告していたが、それが具体的なプロ…

『建築の価値、建築と価値』

というエッセイを書いた。日本建築協会『建築と社会』2015年8月号である。 難問であったのでそもそも「価値」とはなんぞやからはじめたのだが、建築の歴史的価値、芸術的価値などはまずからくりとして理解しなければならないと指摘し、最終的には建築的価値…

川添登

メディアによりご逝去を知った。 ぼくが建築を学び始めたころ、彼は現代建築論についての主著をすでにものしていて、つぎの目標にすでにむかっていたころであった。しかしそれゆえに、完成度の高い論考により、学んだことは多かった。『現代建築を創るもの』…