2018-01-01から1年間の記事一覧

後藤武『アナトール・ド・ボドーのシマン・アルメ建築生成に関する研究』

後藤武さんから博士論文が送られてきた。ありがとうございます。 ベトン・アルメ(鉄筋コンクリート)が一般的になるまえに考案された別の近代テクノロジーと、ヴィオレ=ル=デュクの建築思想をうけつぐド・ボドーについての研究である。19世紀フランスは…

辻泰岳『方法としてのディスプレー:国立近代美術館の会場設計について』

近美が竹橋に建設されるまえの京橋時代の、主要な特別展(企画展)の展示形式と内容を論じている。『文化資源学』に掲載されたものというが、読む機会があった。 「世界のポスター展」「日米抽象美術展」「現代の目:日本美術史から」「現代の目:アジアの美…

アンドレアス・グローテ『ゴシックの匠』

日曜の朝、さわやかに読んだ。ドイツ語初版1959、英語版1966、この日本語版2018。15世紀、ウィトルウィウス建築十書が再発見された。1548年のヴァルター・ライフによる『ドイツ語版ウィトルウィウス』の内容紹介とドイツ建築へのインパクトが紹介されててい…

啓蒙から野蛮へ---森美術館「建築の日本」展について

https://medium.com/kenchikutouron/%E5%95%93%E8%92%99%E3%81%8B%E3%82%89%E9%87%8E%E8%9B%AE%E3%81%B8-622fb9bb9af1日本建築学会HPの「建築討論」に拙論がアップされた。タイトルが古めかしいが内容からすればこんなものである。下書きにあったが自分でボ…

森美術館「建築の日本展」

日本の伝統建築と近現代150年とを相関させ、代表作100点以上を選んで9つの枠組で分類し、多くの模型を展示した充実した展覧会を、先日みてきた。 まずはざっくりの感想。 展覧会を本気で検討してみようと思えば、NY現代美術館における『近代建築』展(1932…

青木淳『フラジャイル・コンセプト』

青木さんからいただきました。ありがとうございます。 ぼくは、自分についてあまり自慢できるところはないのだけれど、青木さんと同年生まれであることはちょっとしたことである。ちなみに妹島和世とも同い年である。いつも青木論に余念がない花田佳明ともご…

ロバート・マッカーター『名建築は体験が9割』

エクスナレッジ様から送っていただきました。ありがとうございます。 すでに結論でもあるタイトルからすると、ソフトな、初学者のための本かなという印象であり、たしかに著者もそう心がけて書いているようである。しかしじつは、広く、深い。 マッカーター…

山本理顕『脱住宅』

3月初頭にはいただいていたので、遅いお礼となりましたが、ありがとうございます。 保田窪いらいの集合住宅プロジェクトの作品集でもあり、時系列でプロジェクトをみながら、専用住宅批判、1住宅=1家族批判を展開する。作品の歩みがそのまま理論の歩みに…

磯崎さんのおかげで文藝春秋デビュー?

磯崎アトリエから『文藝春秋』5月号が送られてきた。ありがとうございます。 なんのことかと思っていたら、「この人の月間日記」というコーナーがあり、今回は磯崎さんの「86歳で沖縄に移住した」である。磯崎さんの文章は、もちろん構築したものも魅力的だ…

アデル・ラインハルツ『ハリウッド映画と聖書』

訳者の栗原詩子さんから賜りました。ありがとうございます。原著は『聖書と映画』、2013年刊であり、表題どおりの内容である。訳文は平明で達者である。 世代的には『十戒』『ベン・ハー』『エデンの東』などが懐かしい(映画ではないが、ピーター・ポール・…

『磯崎新と藤森照信の「にわ」建築談義』

ずいぶんまえにいただいたのですが(ありがとうございます)、めまいの症状が続いていたので、そのあたりに置いたまま忘れていた。めまいがして病院で薬を処方してもらったりもした状況であった。 再録された論文にあるように、磯崎さんの「庭=海」論が全体…

学としての建築

昨日、日本建築学会の建築雑誌編集部ご一行様が研究室にこられた。「留学」について意見交換をした。同僚たちと取り組んでいる「環境設計グローバル・ハブ」を宣伝していいということなので、準備もした。「留学」はグローバル化時代の重要項目なのであるが…