『日本の思想』としての新国立競技場コンペ

10+1 web siteに標記を寄稿させていただきました。

http://10plus1.jp/monthly/2015/10/issue-04.php

特集『新国立競技場問題スタディー「白紙撤回」への経緯と争点』である。ほかに松田さん、青井さん、日埜さんが寄稿している。

さて日本建築界を揺るがしている大問題なのであるし、その問題全体を検討することはぼくの力を超えているような感もある。しかしこれがオリンピック問題なら、たいしたものではないことも、あきらかだ。つまり1980年代にあったような、アマチュアリズム、商業主義化、冷戦下でのボイコット、などと比べると、どうということはない。むしろ火に油を注いで、もっと深刻に、もっと普遍化できないものかなとも思う。

では日本建築界の問題としてはどうか。コンペ、職能など、制度の問題としては終わりなきもののようでもある。プロジェクト規模に比例して、問題も大きくはなったが、本質的な差はないようにも感じる。

ではやはり都市のありようの問題であろう。ストレートにこれは、外苑はどうあるべきか、外苑を含む東京はどうあるべきか、であろう。さらにいえば建築家問題が、コンペ、職能といった20世紀型の問題に限定されているので、都市全体を構想する拡大建築家などというものを想定すればいいのかもしれない。まあこれはぼく以外の専門家たちの課題である。