B案はよろしい

A案かB案かだが、B案かなあ。

第一コンペ案は、建築が触手を伸ばして都市のなかに支配的に介入するというコンセプトであった。A案はグリーンを媒介にして周囲と調和する。B案は、周囲の空間がその巨大な建築ボリュームのなかに浸透してゆく。つまり、第一案:A案:B案=放射(能動・支配):中和(なじむ):吸引(受動)、ということ。3案の相違ははっきりしている。

すでに高密な都市のなかに建てるとすれば、引き込む方針も、ふさわしい。このコンセプトは最初のコンペから一貫している点も注目に値する。

なおかつ粒子か流体かということで予想していたのだが、B案は流体的であると認められる。外部の都市空間が、にじみこみ、流入し、浸透している。

黒川紀章がいっていた「都市の縁側」というコンセプトがぴったり。日本的という外へのアピールも有効。「大きな庇(ひさし)をかけました」みたいなキャッチも使えそうである。

そのような意味で、「逆モニュメント」(反モニュメント、非モニュメントなどいろいろ呼べるとは思いますが)でもある「モニュメント」という、はっきりした主張は感じられます。メジャーな大モニュメントを、マイナーで日常的な人々が占拠して勝手気ままに(とはいえ市民的モラルはまもりながら)使っているという構図は、じつは美しい廃墟の風景である。

あとは政治を見るという楽しみが残されています。