2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『建築におけるオリジナルの価値』(2020)の読書感想

ハードコアな論考集である。なおこれは日本建築学会[若手奨励]特別研究委員会の報告書であるが、学会員のよしみで送っていただきました。ありがとうございます。 ぼくが学部3年生であったとき、故稲垣栄三が担当する授業「日本建築史」のテーマは、法隆寺…

原論的な設計教育(4)基底的なもの

「建築雑誌」2019年7月号の愚論がたまたま退職記念論文になってしまったものだから、自注をつけつつ反省している自己宿題。●再録: すべては演算に還元される。そこでなにが基底的か。結論先取りすれば19世紀は素材(ゼンパー的唯物論)が、20世紀は人間(生…

難波和彦さんの反論を読んでの感想

「神宮前日記」(8月8日と9日)にぼくの読書感想への反論が書かれているというので、読んでみた。 再感想としては、難波さんの受け止め方がなにか変な気がした。 (1)「『本書の要約を試みるよりも、本書にはなにが書かれていないかを探ったほうが、その特…

原論的な設計教育(3)設計に原論はあるか

この連番を忘れていたが、思い出して復活。たんに備忘録だから読まなくていいです。もし読んでしまったら笑ってください。●再録: それにしても、そもそも設計とはなんだろう。かつて情報化がいわれたころ、私たちは情報の海に漂うのであろうとされた。昨今…

難波和彦『新・住宅論』放送大学叢書(2020)の読書感想文

難波さんより送っていただきました。ありがとうございます。 一読して「近代住宅の残像」という言葉が心中に浮上してきた。 本書では、いわゆる建築の四層構造と戦後日本とでマトリクスをつくり、そこに多くの項目を適材適所にプロットして、わかりやすい構…