ギアさんのTOTO講演会

先日、ぼくの大学でTOTO出版主催によるベトナム建築家ギアさんの講演会が開催された。

ぼくはホストを務め、講演会にさきだって、大橋キャンパス、伊都キャンパスにある内藤廣設計椎木講堂、福岡大学キャンパスにある槇文彦設計60周年記念ホール、を案内した。1日で3キャンパスをめぐると、横断的にいろいろな違いもわかる。かつ私大と国立大の違いも体感できる。学生の生き生き感はすこしまぶしいし、三次元的に空間が相貫するなかに、人のたたずまいがさまざまに感じられるのは、身体性がいかなる世界を織りなすかの建築化である。いっぽう田園のなかの、荒涼たる風景のなかの、巨大なアトリウムはその空虚さが感動的ですらある。建築でなにができるか、それを感じ入ったミニツアーであった。

ギアさんの講演は、グローバル化のなかで急成長する都市のなかの、さまざまな悪条件と苦難のなかで、いかに創案してゆくかというお話であったが、そのなかに日本の建築家たちも、方法論、プロジェクト、人材を共有して、ともに地球の課題として取り組んでいけるという希望をも示してくれた。

「瞑想」というのも、困難の克服法であり、壁に激突するだけではないことを教えてくれる。

アジアの拠点的な建築学科がネットワークをつくり、定期的にワークショップを開催して建築プロジェクト教育をする、それを特別イベントではなく手弁当で普段着でやる、というようなことがもっと一般的になるのであろう。そのとき、大学も頑張るが、TOTO出版のようなメディアが情報発信の拠点となる。大学を含む建築界により、学生をそだててゆく、というのが好ましく、これからはそうなってゆくであろう。