2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧

再録・葉祥栄論その4---建築のリアリティへのたゆみない探求にたいして

*某賞にかんしての推薦書(2009)として書いた。 葉祥栄は福岡を基盤としつつも、つねに建築への普遍的なアプローチをつづけ、そのことで全国的に認知され、そして国際的に高い評価を得ている創造的な建築家である。 彼は慶応義塾大学経済学部を卒業ののち、…

再録・葉祥栄論その3---SD誌1997年1月号掲載「葉祥栄にとってのリアリティ」

かつて葉は、自分の建築にふれながら、もはや非建築であることにしか可能性はないといった意味のことを語ったことがあった。たしかに彼の建築は、一見オーソドックスな合理主義的建築によう見えて、なにか独特の雰囲気を醸し出している。例えばガラスという…

再録・葉祥栄論その2---堀川病院サンダイヤルについて

*この小論は毎日新聞西日本版1997年2月14日掲載、見出しは「建築のバリアフリー ---知覚への還元と技術・素材の把握こそ」 「バリアフリー」が昨今、よく言及される。一般的な意味では、それは公共性のある建築や環境において、身障者にとって邪魔になる段…

再録・葉祥栄論その1---内野高齢者生活福祉センターなどについて

*この小論は毎日新聞西日本版1995年7月28日掲載、見出しは「葉祥栄---建築の可能性 屋根と大地の縄文的な造形」 建築の本質は柱か壁かという議論がかつてヨーロッパにはあった。18 世紀のいわゆる啓蒙主義の時代である。荷重を支える柱と、間取りすなわち機…