『建築画報』364(竹中工務店の免震構造デザイン)

竹中工務店様から送っていただきました。ありがとうございます。

雪の降る日、外出もまならなず、うちで漫然とすごしつつ、文献をぱらぱらめくる。

表題のような内容であるが、技術的なことだけでなく、構法と空間、設計が一体となって新しい建築の型がうまれていいることを紹介している。コアのないオフィスビルとか。1920年代以降の耐震構造の発達いらい、いわゆる構造が意匠に優先していたのであるが、ここ30年ほどは、構造・構法の新機軸が空間や平面をも刷新しているということが誇らしげにしめされている。巻末あたりの見開きで紹介されている、免震技術の年表は、ぼくのような素人にはわかりやすい。

ちょうど100年ほど前から、耐震構造の重要性がいわれ、日本建築の方向性を決定づけていた。そこから構造対意匠の矛盾、葛藤と思われたものが、日本建築をきわめて特殊なものとし、さらに建築界の内部で、いまから思えば不毛で無駄な対立と派閥性を生み出したのであるが、昨今の免震技術は、本書でいわれるデザインとエンジニアリングの融合のさらに先をゆき、技術そのもののデザインというものになるわけである。

外殻構造とか、モック、フラットプレートなどは空間そのものの質を変えるので、きわめて建築的な技術であろう。

萩原剛さんも編集したり、執筆されたりしている(お元気ですか?)。画報なので、写真だけをみると、主は設計であり、従は技術という扱いである。でもダンパーとか、プラダの構造詳細とか、もっと大きな扱いにして、ハードボイルドな感じを強調しても、面白いと思うのではあるが。

・・・などと雑感しながら、せんべいをかじり、お茶をすする。雪の日曜日、家にこもって気持ちだけアーバンリゾート?