ながい48時間(ボルドー紀行その1)

11月4日は6時起床、10時の飛行機。

13:30より学会で委員会。2時間の予定が3時間となる。さらに委員長なので、気疲れはある。つくづく会議がへただと自戒しつつ、心のなかで「ほんとうに東京はテンポがはやいなあ」とつぶやく。

羽田空港に直行し、時間つぶしの読書。

水野和夫『資本主義の終焉と歴史の危機』は、すでに数冊は書いている利子率革命の内容であり、それらをコンサイスにまとめたもの。面白いが、専門の経済学から、それを指標とする大歴史観へのステップアップは、参考になるが、あえてする飛躍だけに、どこまでいえるか、が見物。ただ建築は、お金の循環と深い関わりがあるので、背景としてはとうぜん意識すべき内容である。現状においては、政策的に金余りの状況がつくられているので、それが建築プロジェクトをうむ。後世、とうぜん「新自由主義の建築」なる括りができる。問題は、それがいつまで続くか、である。

増田寛也『地方消滅』。これも話題の本。人口減少がまず地方を襲うという内容。しかしそればかりではない。近代国家日本は中間層の構築(戦前なら臣民化、戦後なら中産階級)と一貫していたが、失われた10年ののちは、むしろ両極化を目指すようになったわけで、これは180度の政策転換である。ということは、革命と称すべきことをすでにおこなったのだが、政治にも市民にもその意識がなく、だから50年後、100年後の姿を描けなくなっているのではないか、という感想。そればかりか、日本国民という近代の国民幻想を、政策立案者たちが崩壊させかねない状況で、20世紀における「美しい日本」だの「日本的なもの」などという論考が、まったく過去化してしまうのではないか。それにかわる建築のコア思想が求められるのであろう。丹下健三は、半世紀後には、それこそ神格化されているのではないか。ただし最大限の距離感をもって。

もう5日になって、0時30分に離陸。爆睡するつもりであったが、60%は寝てすごす。

現地5時40分にパリに到着。鉄道切符はインターネットで予約していたが、自動券売機がすべてダウンということで、窓口で発券してもらう。フランスではよくある体験。それでも空港でTGVにのれるのは便利でありがたい。

8時19分、定刻どおり発車。やはり定刻どおり12時38分にボルドー・サンジャン駅に到着。カフェで時間をつぶして、13時45分に宿に到着。家主と、部屋代と鍵を交換し、台所の使い方などおしえてもらう。ああ疲れた。さて自宅をでて、どのくらいたっだだろう?38時間くらいか。意識が薄い感じがしたので、スーパーで買い物をするだけで、宿にもどって、食事、シャワーして8時ころにはねてしまう。

現地6日、6時ころにはめがさめたので、ガロンヌ川ぞいにジョギングする。すでに当地では6キロ巡回コース、5キロ往復コースなどとマイコースをきめてある。今朝は後者。やっと目がさめた。自宅をでて56時間である。