大学トップ20?

文科省が8月6日にHPで、研究大学強化促進事業の対象機関を公表した。これは今年度から開始される事業である。17の国立大学、2つの私立大学、3つの大学共同利用機関法人を「研究大学」と指定して、それぞれに2億円から4億円の資金を配分して、「研究力強化」にとりくんでもらおうということである。

国立大学は旧帝大が中心となるし、私大もあれら有名大学なのであるから、そういう点では選択はごく自然のもののように思える。しかしともかくも政府が、きみの大学は研究中心ですよ、あなたの大学は教育中心ですよという機能分化を指定したということであるし、事実上、ランキングであり、選択と集中である。もちろん格付けをして自由な競争をすることは今の世の中では是である。ただなぜ20ほどの機関に限定するのか、この他にも研究で成果を出しているところは多くあるはずでそこは支援しないのか、理系・文系の比重づけが結果的に残るのではないか、という心配はすぐ思い浮かぶし、実際、いろいろなブログでそのような指摘はなされている。

ぼくのところでいうと、ちょうど10年前にもともと教育中心の単科大学であったところが、研究中心の総合大学に統合され、今回の事業のなかにも選ばれた。そのことじたいはよいのだが、体制移行の課題はあった。教育中心から研究中心への転換は、容易なことではない。組織の形もそうなのであるが、ぼくたち教員のひとりひとりの体質も教育中心的のままで、なかなか研究中心になりきれない。そのことに苦しんで早期退職した人もいた(彼のことはぼくのトラウマでありつづけるだろう)。

そのような経緯で、ぼくの部局は研究中心体制への転換をはかったし、そこためにぼくも微力をそそいだ。どうも多くのかたがたはその戦略的・本質的意味をわかっていないようだが、10年後はっきりするであろう。

もっとも教育中心、研究中心という区別が差別的になってしまうことそのものが、どうかと思うのであるが。