こども環境設計

大学の「施設公開」という企画があったので、学科でいろいろ智恵をしぼったあげく、東京でこどもあーと教室を主宰する海老沢さんと学科OG建築家の坂口舞にきていただいで、地域のこどもたちのための教室をひらいていただいた。

大学は18歳人口の推移をとても気にしているが、あと数年は120万人を維持するものの、そのあとは80万人台に落ち込むことが確定しており、対策を講じなければならない。8年後ということは小学5年生あたりからということであり、すでに危機は目の前にあり、対策はこれら世代に大学の魅力を見つけてもらうことである。という、なんともせちがらい事情である。

小学校の先生を退職したばかりという方とたまたま意見交換をした。ゆとり教育の苦労、大学はどんな学力(受験生)を学生にもとめるか、小学~高校はどんな学力をあたえようとしているか、じつはかみあっていないことはずっとまえから感じていたが、ほんとうは初等、中等、高等教育の担当者間の意見交換もほしいところ。立ち話であったが、そんなこともできた。

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この「ひみつきち」の演習をみていて、いろいろ発見した。こどもは自分より大きいもの、自分の身体をつつむものの制作にはとても熱心。ひごろは、フスマに絵を描くことなど、禁じられている。画用紙とかディスプレイしか与えられない。しかし制限なしだと、ほんとうに自分の世界を構築しようとする。これは建築設計などにとってはよいのではないかと思う。こどもの創造性は大きい。いや大人だってあるだろう。そのタガを外すこと。教える立場の者は、この縛りを解き放って、創造を自由に羽ばたかせるのが使命であろう。

鵜飼先生は「だんだんボックス」の企画で、こどもとアーティストの自由なコラボをやらせていた。製図室の壁は、2時間でアクションペインティングのような絵画で埋め尽くされた。このコラボは、各楽器が自由な演奏を展開しつつ全体として調和をたもつ現代音楽のオーケストラのようにも思えた。

大学での設計教育は、現実のプログラムや社会の課題といったものが縛りとして課せられ、それに挑むことが訓練であるのだが、しかしプロセスにおいて縛りをいったん解除して創造性を開放するという矛盾したことをやらねばならないわけである。