Quelles villes pour le 21e siècle?

『21世紀の都市やいかに?』という本が目にとまったので、年頭に読む本としてなかなかよいのではないかと思い、最初と最後だけ読んでみた。ティエリ・パコが序文を書いている。

結論はあっさりのべられていて、「惑星次元の都市化」である。ちょうど50年前は全国土の都市化が語られたように。地球全体が都市化してゆく。1800年までは人口100万の都市は、ローマ、コンスタンティノポール、西安バグダッドの四つしなかなった(江戸を忘れていません?)、20世紀は第三世界都市、社会主義都市、資本主義都市という3類型があった。21世紀はグローバル化の作用によって、北の都市と南のそれという南北問題となり、新しいガバナンス形式が発展するであろうが、地球の運命を握っているのは中国、インド、ブラジルという「大陸国家」における都市化なのである(ではアメリカは?)、というご神託であった。

ルイス・マンフォードのそれに匹敵するような壮大な枠組みが語られる。人類都市史は、新石器時代から(都市社会)、大航海時代から(世界都市)、産業革命から(現代につながる)の3区分がなされ、それらのプロセスにおいてキーワードは「都市」から「都市性」(都市化?)に移行したという・

そして都市化あるいは都市的なるものは、5種類に分類できる。スラム。メガ都市。グローバル都市(サスキア・サッセンのいうような)。住居専用地区(ロンドン西部のスクエア開発からゲイティド・コミュニティ・・)。中規模都市。地球上はこれらの5要素の組み合わせとなってゆくが、場所はそれぞれ固有であり同じものはふたつとないものの、5要素の組み合わせという点ではどんどん均質化してゆき・・・・という悪未来もみせられる。ただそうしたなかで社会、都市、コミュニケーション、環境という4課題に取り組まねばならない、という。

というような枠組みでかなり豊かな各論が展開されているが、まあ時間があったらひととおり読んでみようかな。

漫然とテレビをみていると、フランス国内でも徐々に人口移動がおこっているらということが報道されていた。ベルギー、ドイツとの国境に近い北東部は、製造業の衰退と平行して人口減である。反対にこれまでこれといった産業がなかったのでさびれていた南西部は、大西洋や地中海に面しているという地理的・機構的な好条件もあって、人口増である。

グローバル化そのものは否定できない事実であって、近年点検しなければならないのは新自由主義経済であろう。後者は政策であり人為的なものだから修正もできる。100年前の都市論は、資本制を成立させた都市に関心が集中していた。資本制が伝統的都市を近代都市に変容させるという枠組みで、多くのことが語られた。それは移行期の語りであった。地球そのものが都市化してしまうと、別の形式の語りが要請されるのであろう。