『モダニズム建築って何?』

「建築雑誌」2月号だが、「建築の争点」なるコラムがはじまっていて、太田省一さんにこのブログで論じたことを取り上げていただいていた。このモダニズム建築という和製英語の問題を提起しながら、言葉狩りにならず、それを論じるための枠組みを拡大しようという学術雑誌にふさわしい内容であった。

個人ブログにすぎないものが、権威ある日本建築学会の機関誌にて公式に認定(?)していただいてたいへん光栄である。

ぼくがこの問題を論じた初出は2008年4月30日と5月4日の記事であった。『建築雑誌』2008年2月号特集「モダニズム建築の保存」と、ウィキペディアの「近代建築」の項を批判したのであった。この時ウィキペディアにはまだ「モダニズム建築」の項はなかったと記憶している。

http://patamax.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/post_a90b.html

http://patamax.cocolog-nifty.com/blog/2008/04/post_9c66.html

それからウィキペディアにとうとう「モダニズム建築」という項が登場していることに気がつき、少し腰をいれて論じてみようと思った。2009年1月10日、13日、15日の投稿である。建築史用語として論理的に矛盾しているという指摘をしたかったのだが、テレビ番組にまで登場してしまったので、もう修正不可能だとあきらめ、こんどは「モダニズム建築」をめぐる一種の精神史として分析しようとしたのであった。

http://patamax.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-24b3.html

http://patamax.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/ch-b344.html

http://patamax.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-baaa.html

それなりにいいネタだと思ったし「モム建論」として連載にして揉んでみようというオヤジギャグまで考えたのであるが、怠惰なぼくは連載宣言した瞬間に挫折するというていたらくで、それからほったらかしであった。

このようにレビューしてみると初出からほぼ4年(!)ですが、学会の良心、世代を超えた歴史観、といったものも感じられて、ブログをやる意義もあったというものです。

今私たちが生きている21世紀において、近代化やキャッチアップはすでに建築界的目標ではないのですが、20世紀をどう歴史的に位置づけるかという大問題のなかで、この「モダニズム建築」課題はけっこういい突破口になるかもしれない。

ところで文脈はとぶが、「カーネーション」のヒロインのモデルになった人物は丹下健三と同年生まれだそうである。すると糸子はある意味でモダニズムを代表しているかもしれないし、呉服に対して洋服という構図はけっこう建築のそれに似ていたりして。すると三姉妹に相当するのは建築界では・・・・やめておきましょう。